- 2024.08.05
住みながら家を売るメリットとデメリットを徹底比較!スムーズに売却するには
自宅の住み替えを検討する場合、住みながら家を売ることが可能です。住みながら家を売ると費用面や内覧者へ生活イメージを伝えやすくなるといったメリットがある反面、スケジュール調整の負担が大きいなどデメリットもあります。
この記事では、住みながら家を売るメリットとデメリットを解説します。住みながら家を売るコツや売却後も家に住み続ける方法についてもチェックしてみてください。
目次
住みながら家を売ることはできる?
自宅を売却する場合、住みながら売ることが可能です。家を売却するというと空き家にしてから売る印象があるかもしれませんが、中古の一戸建てやマンションの場合は住みながら売りに出されている物件は少なくありません。
住みながら家を売るからこそのメリット・デメリットについて、次の章から詳しく見ていきましょう。
住みながら家を売るメリット
住みながら家を売ると、住み替えの資産計画を立てやすかったり、内覧者に直接家の魅力を伝えられたり、空き家より劣化しにくかったりなど、さまざまなメリットがあります。住みながら家を売るメリットを紹介します。
住み替えの資産計画を立てやすい
自宅の住み替えを検討する場合、新居の購入費用や引っ越し費用などまとまった資金が必要です。先に新居に引っ越してから売却する方法では、一時的に預貯金から費用を持ち出す必要があります。
住みながら家を売却すれば、売却資金を得られる見込みが立つため、売却資金を引っ越しや新居の購入費などに充てられる点がメリットといえるでしょう。
売却額の見込みがわかれば資金計画を立てやすく、資金面での不安や資金不足になるリスクを軽減できます。
内覧者に直接、家の魅力を伝えられる
住みながら家を売る場合、購入希望の内覧者と直接話ができる点がメリットです。立地や間取りだけでなく、住んでいるからこそわかる家の魅力をアピール可能になります。
内覧者側も家具や家電などが配置されている状態の家を見られるので、空き家より生活をイメージしやすいはずです。内覧者は以前のオーナーはどのような人か、どんな風に暮らしていたかを気にすることが多く、直接話せるのは安心感につながるでしょう。
もし今配置されている家具や家電も一緒に譲り受けたいという内覧者がいれば、交渉が可能です。
空き家より劣化しにくい
家は空き家になって人の出入りがないと、劣化しやすくなります。住みながら家を売ると掃除や空気循環が定期的にされるため、湿気やカビの繁殖を抑えて劣化速度を遅らせられる点がメリットです。
空き家の状態で長く購入者が見つからないと、劣化が進み価値がどんどん下がってしまいます。住みながら家を売る方法を選ぶと今の状態を維持できるので、劣化しにくく売却しやすくなるといえます。
売却期日がないため余裕をもてる
住みながら家を売る場合は、基本的にいつまでに売却しなければならないという決まりはありません。そのため、急いで売る必要がなく、焦りから不本意な値下げをしてしまうことも回避できるでしょう。
住みながら家を売る場合は売却の目途が立ってから新居を見つけるので、住宅ローンが二重で発生することもありません。
仮住まいの費用を抑えられる
空き家で売却してその資金で新居を購入する場合、新居に住めるようになるまで仮住まいの賃料が発生します。仮住まいとはいえ、毎月の家賃、敷金や礼金、引っ越し費用などまとまった金額が必要です。
住みながら家を売るなら、売却と引っ越しのタイミングが合えば仮住まいは不要となり支出を抑えられるでしょう。短期間の仮住まいが必要となる場合でも、住みながら家を売るなら売却額で工面できるので自己資金からすべてを用意せずに済みます。
住みながら家を売るデメリット
住みながら家を売るとたくさんのメリットがある反面、内覧者の希望を優先させるためスケジュール調整が大変だったり、部屋の生活感で内覧者の評価を下げるリスクがあったりなど、デメリットも考えられます。住みながら家を売るデメリットを見ていきましょう。
内覧の希望を優先してスケジュール調整する必要がある
住みながら家を売る場合、売主は基本的に内覧に立ち会わなければならないため、内覧の予約に合わせてスケジュール調整が必要になります。
できるだけ早く売却するためには、機会損失にならないよう内覧希望者の希望に合わせることが大切です。
内覧希望は特に休日に集まりやすいため、週末の予定を入れにくくなりますし、急に内覧を申し込まれることも少なくありません。内覧前には掃除や準備も必要でしょう。
常に対応できるようスケジュールを開けておかなくてはならないのは、負担が大きいといえます。
生活感で内覧者の評価を下げるリスクがある
住みながら家を売る場合、内覧者に生活のイメージが湧きやすい反面、生活感が伝わりすぎて印象を悪くすることも。
内覧者が見ているのは全体的な雰囲気です。売主の生活感が内覧者のイメージと合わない場合、評価が下がるかもしれません。少なくとも、生活感がありすぎて不快感を与えているのはNGです。
内覧時にはしっかりと整理整頓と掃除をして、きれいな状態で見てもらうことが重要です。モデルルームの室内をイメージすると良いでしょう。
内覧者が細かいところまで見学しづらい
住みながら家を売るデメリットとして、内覧者が売主に気を遣ってしまい細かいところまで見られず、満足な内覧ができない場合がある点も挙げられます。
住みながら家を売る場合、内覧者は売主の生活スペースに入ることになり、抵抗を感じやすいもの。寝室や水回りなど本当はじっくり見たいポイントであっても、遠慮から満足に見られず、購入に至らないこともあります。
家の中は細かい部分までできるだけきれいに整えて、じっくり見られても問題ないよう準備しておいてください。また、内覧の間、ずっと内覧者について回るのもやめた方が良いでしょう。
新居探しのタイミングが難しい
住みながら家を売る場合、家はいつ売れるかわからないため新居探しのタイミングが難しいのはデメリットです。
万が一家が売れて引き渡し日までに新居が見つかっていないと、仮住まいを準備する必要があります。仮住まいにうつると、その分引っ越し代や敷金礼金などが発生します。加えて、3月や9月など引っ越しのハイシーズンは、費用も高くなりがちです。
売却の目途が立ったら、できるだけ早く新居を探し始めることをおすすめします。
空き家の状態と住みながら家を売る場合の違い
家を売る場合、空き家にして売る方法と住みながら家を売る方法があります。2つの方法にはどんな違いがあるのか、見ていきましょう。
買主への対応
1つ目は、買主への対応についてです。
空き家で売る場合、不動産会社に売却を一任するので売買契約を結ぶまで買主と顔を合わせることはありません。
内覧も不動産会社が同伴・対応するため、買主はじっくりと内観をできます。内覧スケジュールも内覧希望者と不動産会社との間で決定します。
対して住みながら家を売る場合、内覧に立ち会うため買主とコミュニケーションが取れるのが特徴です。住んでいるからこそわかる魅力を伝えられるでしょう。
内覧スケジュールは希望者に合わせて売主が調整する必要があります。内覧者は売主に遠慮してじっくり内覧できないことがあるようです。
物件の状態
空き家で売る場合は、換気や掃除など手入れが行き届かないため劣化が早いのが一般的です。また、家具や家電がないので生活イメージが湧きにくいといえます。
住みながら家を売る場合は、定期的に手入れができるので劣化が遅い特徴があります、家具・家電が入っている状態なので、生活イメージが湧きやすいでしょう。
新居の購入
住宅ローンの残債がある場合で空き家にしてから売却すると、売れるまで新居のローンとの二重払いになる可能性があります。新居を購入するなら査定額を基準に判断して、売却が決まる前に購入します。
住みながら家を売るなら、売れるまでは新居を購入しないので二重ローンになりません。売却した資金をもとに新居を購入します。
住みながらスムーズに家を売るコツ
住みながら家を売る場合、売却期限はないものの、できるだけ早く売りたい人は多いでしょう。スムーズに住みながら家を売る6つのコツを紹介します。
内覧を意識して自宅を整える
住みながら家をスムーズに売却するには、家を商品と考えて内覧を意識した維持管理が重要です。いつでも内覧できるように自宅は掃除を徹底しておきましょう。
住みながら家を売る場合、生活感が出やすい傾向にあります。必要以上に生活感を感じさせないよう、水回り、ベランダ、収納など細かいところまできれいにし清潔感を保つのがポイントです。必要に応じてハウスクリーニングを利用するのもおすすめ。
また、部屋のニオイ対策も大切です。ニオイのこもりやすい風呂、トイレ、キッチンなどは念入りに掃除をしてください。ニオイが気になるなら、ルームフレグランスなどを活用してみてはいかがでしょうか。
加えて内覧者は日当たりを気にすることも多いので、日当たりが最も良い時間に意識的に内覧スケジュールを組むのも良いアイデアです。
内覧者には誠実に対応する
内覧者は家を購入してくれるかもしれないお客様である、と考えてください。内覧しやすいように内覧者用にスリッパを用意したり、引き出しや扉など内覧者が開けにくいところはあらかじめ開けておいたり、細かい気配りがあると良いでしょう。
あまり強く家の良さをアピールするのは控えて、内覧者の質問には誠実に回答します。デメリットについて聞かれた場合も、隠さずに答えないと契約締結後にトラブルになりかねません。
周辺のスーパーや学校、治安など質問されそうな項目にはあらかじめ回答を用意しておくと安心です。
できるだけ早く売却活動を始める
住みながら家を売る場合、内覧希望者と売主のスケジュール調整を行う必要があるため、空き家で売る場合に比べて成約まで時間がかかる傾向です。
できるだけ早く売却したいなら早めに売却活動を開始できるように準備するのがポイントです。積極的に売却活動をサポートしてくれる不動産会社選びも大切といえます。
複数の不動産会社に査定を依頼する
住みながら家を売ることを決めたら、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
優秀なパートナーになる不動産会社を選ぶためには、複数の不動産会社を比較する必要があります。ただし査定額だけで比較するのはおすすめできません。
売却実績が多い売却力の高い不動産会社や、わからないことや困りごとを気軽に相談しやすい担当者がいる不動産会社を選ぶことも大切です。
急な内覧にも対応できるようスケジュール調整する
スムーズに住みながら家を売るには、できるだけ多くの購入希望者に内覧してもらいましょう。内覧希望者のスケジュールに柔軟に対応できるよう、売却期間中はスケジュールを開けておくことがポイントです。
特に内覧は土日に集中するので、土日はできるだけスケジュールを空けておいてください。
内見中は自由に内覧してもらう
内覧には同席する必要がありますが、内覧者にはできるだけ自由に見てもらうようにしてください。
家の魅力を積極的にアピールしたいかもしれませんが、良い点ばかりアピールすると逆に良い印象を持たれにくくなります。内覧中にずっとついて回るのも控えます。
内覧者が売主の目が気になって、細かいところまで遠慮して見られなくなったり、居心地の悪さを感じてしまったりするためです。
アピールは控えめにして家を自由に見てもらい、質問があったときに誠実に受け答えをするようにしましょう。
住みながら家を売る前にやるべきこと
住みながら家を売るには、事前準備も重要です。住みながら家を売る前にやっておくべきことを解説します。
自宅の売却価格の相場を知る
住みながら家を売ると決めたらまずやるべきことは、売却価格の相場を把握することです。
相場を知っておけば高く設定しすぎて買い手がつかなかったり、安く売りすぎて損をしてしまったりするのを防げます。家の売却価格相場は、不動産会社に査定依頼をする、または査定サイトで依頼するなどの方法があります。
複数の不動産会社に査定を依頼するのもポイントです。
住宅ローン残高と自己資金を確認して支払いの見通しを立てる
自宅の売却価格相場を把握したら、売却額で住宅ローンが返済できるかを確認します。
住宅ローンの残高より家の売却価格が高い、または住宅ローン残高より売却価格が低くても自己資金でローンを完済できるなら問題ありません。しかし、家の売却価格で住宅ローン残高が賄えない場合で自己資金が乏しいなら、他の売却方法を考えましょう。
ダブルローンや住み替えローン、任意売却などを検討する必要があるかもしれません。
住みながら家を売るのに向いている人
住みながら家を売るのと空き家で売るのとではそれぞれ特徴が異なるため、向き不向きがあります。
一般的には空き家の方が早く売れるといわれていますが、住みながら家を売る特性を活かせれば、住みながらの方が有利になる場合も。
住みながら家を売るのに向いているのは、インテリアに関心がありおしゃれな空間づくりができている人、家の中を人に見せても恥ずかしくない人、室内にものが少なく生活感が少ない人などです。
その他、在宅時間が長く内覧時間に柔軟に対応できる、売却を急がず時間に余裕がある人にも向いています。
住みながら家を売却したあとも住み続ける方法
住みながら家を売る場合、売却後は新居に引っ越すことがほとんですが、場合によっては売ったあともその家に住み続けることも可能です。
家の売却後も住み続けられるリースバックやリバースモーゲージについて、詳しく紹介します。
リースバック
住みながら家を売ったあと同じ家に住み続ける方法の1つが、リースバックです。リースバックでは家を不動産会社に売却して、その後賃貸借契約を結んで同じ家に住み続けます。
売却するので自宅の所有権を失い、毎月の賃料が発生しますが、一度売却することでまとまったお金を得られるメリットがあります。リースバックは直接不動産会社に家を買い取ってもらうため、内覧対応が不要な点もメリットです。
ただしリースバックでの家の売却額は、相場の70~80%程度と低くなる傾向にあります。また、リースバックはまだ比較的新しい仕組みで取り扱っている不動産会社も少ない点に注意が必要です。
リバースモーゲージ
将来的に売却することを前提に、住みながら家を売る方法もあります。この方法はリバースモーゲージと呼ばれ、自宅に住みながら自宅を担保に借り入れをして、債務者の死亡後に担保となる家を処分します。
毎月の支払いは利息のみで、元本は死亡後に回収する高齢者向けのシステムです。
注意点としては、所有権は売主にあるため固定資産税などの支払いは発生すること、借入金の使途は老後の生活費など制限があること、自宅は相続財産から外れるため法定相続人の同意が必要な場合が多いことなどが挙げられます。
住みながら家を売るならメリットとデメリットを見極めて検討を
住みながら家を売ると、住み替えの資産計画を立てやすく、劣化を防ぎながら内覧者に直接、家の魅力をアピールできるなどのメリットがあります。
反面、休日に内覧対応をする必要があるのでスケジュール調整が負担になったり、新居探しのタイミングが難しかったりすることも。
メリットとデメリットを考慮して、住みながら家を売るかどうかを検討してください。住みながら家を売ると決めたら、スムーズに売れるようコツを押さえておくことが大切です。
住みながら家を売るなら、販売実績豊富な住栄都市サービスにぜひご相談ください。
住宅のトータルプロデュースならお任せください!
1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。